Apple社の社員、行き過ぎたThink Differentにより解雇
Apple Employee Fired For Thinking Different
 


“Think Differentしすぎた(考え方を変えすぎた)”
ため最近解雇されたApple社のソフトウェア・アナリ
スト、ブレント・バーロウ氏(1998年撮影)
 

カルフォルニア州クパーティーノ発
 Apple本社のソフトウェア・アナリスト兼ベータ・テスタ、ブレント・バーロウ氏(27)は、“Think Differentしすぎた(考え方を変えすぎた)” との理由で月曜に解雇された。

 同社の報道官は、バーロウ氏は「Apple社の社員が従うべき日常の行動規範に違反し続けた」として、解雇はやむを得ないものであるとコメントした。

 バーロウ氏に関するApple社の従業員ファイルには、行動規範を逸脱した例として、コンピュータの上にマウンテンバイクを吊り下げるため滑車器具を設置した、ボブ・ディランをヘッドフォンで聞きながらソフトウェアのテストを行った、「皆のクリエイティブな活力と疎通を図るため」Apple社のキャンパスを裸足で徘徊したなどがある。

 Apple社のソフトウェア開発上級副社長、アヴィエ・テバニアン氏はこう語る「考えを変えること自体に問題はありません。事実、Appleではそうすることを積極的に奨めているのですから。しかし、バーロウ君の場合、少し度が過ぎました」

 バーロウ氏の問題が最初に報告されたのは1996年の9月のこと。「職場を非常識でプロフェッショナルらしからぬ個人的趣味の空間に変貌させた」ことが原因だった。マハトマ・ガンジー、アインシュタイン、R・バックミニスター・フラー(歴史的有名建築家)といった人物の写真をテープで貼りつけたほか、モニターの側面に赤で大きなクエスチョンマークをペイントし、同社で禁止されているジム・ヘンソン(人形士。カーミットフロッグなどを創作した)の背景をデスクトップに表示し、さらに、登録商標されているAppleのシステム警告音をジョン・レノンの『イマジン』の一部分に変更するなどの行為を行った。

 髪をポニーテールにしたバーロウ氏は、1995年の入社時から愛用してきたデスクを掃除しながらこう語った「僕は奇抜な角度から問題を捉えるのが好きなんです。僕自身が創った自由形式な環境にいるととても集中できるんです」

 バーロウ氏に関する最近の公式報告は先週の木曜日に彼が所属する作業チームの上司から上がったものがあり、その時バーロウ氏は逆立ちをしていた。

 バーロウ氏によると「あのときはAppleが開発を進めている新しいMac OS Xシステムソフトウェアにあったバグの修正に煮詰まっていたんです。あれこれ試したんですが、うまくいかなくて。そこで、問題に対する考え方を180度転換すればうまくいくんじゃないかって思ったんです。それには逆立ちが一番だと思いませんか?」

 こうした「行きすぎの倫理破壊」の発生を今後防止するため、Apple社は個人に関する企業原則と規則を示したマニュアルを作成した。許容される非倫理的な行動としては、着席時またはデスクから1メートル20センチ以内での脱靴、上司からの書面による事前の許可がある場合の口笛などがある。一方、認められない“意味のない特異的な”行動として、大声での歌唱、凧上げ、昆虫捕獲などがある。

 社内コミュニケーション部門のディレクター、マイケル・ランドゥ氏は「もちろん、社員には個人であるとともに‘彼らの仕事’をしてほしいと願っています。しかし、バーロウ氏は逸脱した行動を繰り返しました。あのように考え方を変えたかったのなら、プライベートな時間にやってほしかったですね」と述べている。
 


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