AFNで流れる曲は、どうやって決めている?(同じ曲が多い?)

プロフィール — 1998年に翻訳業を開業。英語等の多言語翻訳業を営む翻訳者。AFNにはFEN時代からお世話になっています。

AFNの選曲基準

AFNをしばらく聞いていると、あることに気づきます。

皆さんは「あれ、この曲さっきも流れていなかった?」と思ったことはありませんか?

AFNでは、比較的、何度も同じ曲が多く流れている印象があります。

番組内で流れる曲はどのように選曲されているのでしょうか?

スターズ&ストライプス(星条旗新聞)によれば、AFNの番組内で流す曲は、チャートの人気曲や、「Billboard」誌、「Radio & Records」誌の情報をもとに、カルフォルニアを拠点とするAFN放送センター(AFN Broadcast Center)が選曲を行っています。

AFNは日本を含め、駐留基地がある175か国、および海上の海軍艦船内で放送されています。

毎週、米国外のAFN局には、米軍ラジオテレビサービス(American Forces Radio and Television Service 略称AFRTS)から3枚のCDが届きます。このCDには、米軍ラジオテレビサービスが選んだ曲が、1枚につき12曲収録されており、DJたちは番組内で流す曲を、過去分を含め、これまでに届いたCDに入っている曲の中から選んでいるとのこと。

つまり、AFNで流す曲は、米国本土でセレクト、収録された、オリジナルCD内の曲から選んでいるそうです。

AFNは、米国本土で人気の上位20曲ほどを同時期に流すことで、米国本土のリスナーと同様の聴取体験の提供を目指しています。

また、米国防省は、権利等の問題がクリアであれば、AFNが米国本土と同レベルのラジオ、テレビニュース、情報、スポーツ、エンタテインメント番組を放送するよう義務づけており、その旨を規則(DOD INSTRUCTION 5120.20)で明文化しています。以下は、その規則部分となります。

「(4) Provide English-language U.S. commercial news, information (e.g., editorial and interview programs), and entertainment programming, based upon broadcast quality, industry ratings and critical acclaim, and subject to the availability of resources and licensing.」 DOD INSTRUCTION 5120.20より引用

また規則上、不快、攻撃的、人種差別的なワードを使う番組や、ドラッグやアルコール、反社会的行動、性犯罪、セクハラを助長するような歌詞の曲は放送できません。放送に使う曲のバージョンは、歌詞にそれらが含まれない、米本土の小さな町でも流れるような「ラジオ向け」バージョンを流しています。また、AFNで流れる曲は、FCC(Federal Communications Commission 連邦通信委員会)の基準に準拠した曲だけです。下品であるとの理由でFCCに放送を禁止された曲も存在します。

また、米国外のAFN局が、米本土で制作された番組の内容を改変することは禁止されています。

米国外のAFN局に届くCDのなかには「歌詞要注意」と指定されたものもあり、その曲を流すことが、その地域、時間帯によって適切かを、各地域局が独自に判断しています。

AFNは汚いスラングや差別的発言が聞こえてこないため、リスニングの勉強には最適とされていますが、それもこうした国防省の厳しい規則のおかげなのですね。